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犬猫愛護会 わんぱーく

犬猫愛護会わんぱーく

岡山を拠点に、殺処分ゼロを目指して、終生飼養の啓発と共に、行政からの委託で処分寸前の犬猫を保護し里親を募集し譲渡する活動を行う。

発足して14年。(2022年時点)

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岡山わんぱーく理事長

理事長 吉田照明


岡山県出身

愛犬は元保護犬のバモス。わんぱーくから迎え入れる。

ボランティアを始めたきっかけ

いま飼っているバモスの前に飼っていた先代犬「うず」は、新聞に「譲ります」と掲載されていた犬でした。その「うず」が9歳で亡くなって、ペットロスになりました。そして次の犬を迎えようと思い、先代犬が保護犬だったこともあって、岡山県内で保護犬を探しました。

保護犬の譲渡会を探していたところ、わんぱーくを見つけ、犬に対して“ボランティア”という関わり方もあるんだなと思いました。それからボランティアに応募して、ボランティアを始めました。それが2017年のことです。

先代犬うず

先住犬 うず

先代犬うずと

「うずのおかげで人生をずいぶん変えてもらい、人間らしく生きられるようになった。

 

今、一番可愛いのはバモスですが、生涯で一番大切な犬はと聞かれたら「うず」かもしれません」

そして理事長に

ボランティアを始めてからあっという間に、役員に、そして副理事になり、半年後には理事長になっていました。僕はボランティア歴が長いわけでも、経験があるわけでも、犬に詳しいわけでもありませんでした。でもそんな人間にもあっと言う間にそういう役が回ってきたということは、それだけ人手不足だったんだろうなと思います。

ボランティアを始めた頃はペットロスの状態だったので、ただ「犬と触れあいたい」という気持ちでした。でも役員になると、犬や猫の世話以外でやらないといけないことが増えます。会を運営継続させるための業務ですね。

ボランティアは「それぞれ自分のできる範囲でやる」、それが基本です。そうはいっても、これだけの会を動かしていくにはやらないといけないことがたくさんあります。そうなると、出来る人や関われる時間がより多く持てる人に、いつの間にか負担がかかってきます。

ですので、特定の人だけに負担がかからないようにうまく分担したり、ボランティアさんたちのマネジメントをやっていかないといけません。僕を含め役員はそういう役割なのですが、とはいえ僕自身もボランティアです。本業の仕事をしながら施設の運営に関わっているので、どうしても使える時間が限られており、うまくできていないのが現状です。

「人が人を動かす」、会社なら業務で指示してやってもらえることであっても、ボランティアさんたちに無理にさせるわけにもいかない。とはいえ、無理にやってもらわないといけないことも実際はたくさんあって、難しいところです。
 

お世話の様子

わんぱーくの現状

ボランティアは、登録数だけではいえば200~300ぐらいです。その中で、毎日活動してくれている人でいうと20~30人ぐらい。

収容されている犬たちは16頭。猫は自宅預かりになっているため、シェルターには今はいません。(2022年4月現在)


シェルターでのお世話は、食餌、水やり、散歩、掃除、です。午前の部、午後の部で、それぞれ3~4人で回しています。たとえば今だと16頭いるので、その日のボランティアが3人の場合、ひとり5頭ずつ散歩に行かないといけません。1頭ずつ、計5回散歩に行くとなるとそれなりに体力も必要ですし、暑くなってくるとさらに大変になります。


中には扱いの難しい犬もいて、すっと散歩に行けない子もいる。相性もあるし、噛まれるのが怖いからと扱えないという人もいて、誰でもみんな散歩に行けるわけではありません。


またお世話の中心となって、入ってくれている人は限られています。週のうち、同じ人が何回も入ってくれていて、そういった方は色んなこともできるのでとても頼りになります。でもそうなると、そういった人は用事があっても、ボランティアを休めなくなる。中には有給休暇を取ってまで、お世話に来てくれる人もいます。でもそれはそれで続かなくなるんですよね。
 

収容されている犬たち

収容されている犬たちは、ほぼ野犬だと思います。出自までは細かく明らかにはされていないのですが、地方の愛護センターは野犬の保護が多いです。

野犬だろうなと思われる犬は、どれくらい育ってから捕獲されたか、でその後が全然違ってきます。例えば​うちのバモスは元野犬ですが、ミルク飲みの頃から人に育てられているので、人には慣れています。でも野犬という血筋なのか、ちょっと神経質で怖がりなところがあります。

対して、成犬になってから捕獲された犬は、人との距離がなかなか縮まらなくて、隅で震えていたり、固まっていたりします。ですが、ちょっとずつでも慣れてきて、リードをつなげるようになって散歩に行けるようになってくると、素直で吸収力が高い。慣れるまでは、犬も人もお互いに相手の様子を見ながらになりますが、慣れてくると、割と扱いやすい犬が多いような気がしています。

逆に扱いにくい犬は、人に飼われていたんだろうなと思われる犬です。

ボランティアさんが時々噛まれたりしてしまう犬は、普段は人懐っこい。でも、なにかのタイミングで噛んでしまうことがあって。人に飼われていたはずの犬のほうがこじれている、というのは悲しいなと思います。

野犬の多くが最初は扱いにくいですが、ちゃんと上手に距離が縮まってくれば、怖がりであることを理解してあげながら互いに適切な距離感をもちつつ、うまくやっていけそうな気がします。

収容されている犬たち

世話をする上での問題

一番困るのは、咬傷事故です。やはり被害も大きいですし、そこが一番ですね。

 

解決のために「こうしていこう」と意見はでますが、ボランティアなので、根本的な解決ができるほどではない状況です。野犬が口が出そうになってしまうのは、場所が怖いからとか、人間が怖いとかだと思うのですが、そこは距離が縮まってきたら、解決の方向にいくのだと思います。

ですが、人に飼われていた犬の場合は、人が噛む行動を作っているんじゃないかと。シェルターに入る前になにかあったのかもしれないですが、もしかしたらシェルターに入ってから噛むようになってしまったということもあるかもしれない。シェルターで噛む行動を強化してしまっているかもしれない。

そこをボランティアがどこまでできるのか。

もちろんボランティアであっても、犬に対しての思いがあってお世話に来てくれている人たちなので、犬たちのためにいい方法をとろうとはしてくれるとは思います。ただ「できる」か「できない」かは別です。そして犬にとっていい方法が、ボランティア全員に正しく伝わり浸透し、共通認識で動けるかどうか。

どうしても、不特定多数の人が入れ代わり立ち代わりお世話するので、みんなが同じことをするというのが、いまの段階ではなかなかできていません。そこが一番難しいところであり、一番の課題です。

収容されている犬たち

会を発足してから初の研修

先日、わんぱーくにとって初めての研修を開催することができました。

会を発足した14年前と比べると、ボランティア団体の数も増え、ボランティアの意識も変わってきたと思います。

これまではこういったボランティアをやろうと思ったら、活動できる会の数は限られていました。だからこそ、それぞれの会毎に、ボランティアの数も確保できていました。また、かつてはいまのように情報がなかったと思いますので、ボランティア活動が一般的ではない中で、「ボランティアをやろう」とする人はそもそも意欲の高い人が多くて、積極的だったと思います。

いまはというと、SNSが普及し、テレビでも保護犬が取り上げられたりと、普通の人が関われるようになってきたと思います。うちでも中学生や高校生が母親と一緒に来てくれたりします。それはいい面でもあると思うんですけど、間口が広がったことで、一度来て、満足して、その後は来なくなる、ということも増えました。

またボランティア団体の数も昔より増えているので、関われる人が分散して、なかなか人が集まらないという現状があります。

そんな中でシェルター内でもいろいろな問題がたくさんあって、でも人は足りない。人数が少ない中でどうやって改善していこうかといったら、質をあげていくしかない。ボランティアの人数を増やしていくのはこれからもやっていかないといけないですが、ひとりひとりの意識や質を高めていくのが、ひとつの方法だと思います。

 


また会の中でも「勉強が必要なんじゃないか」「専門家の人の話も聞いてみる機会も必要なんじゃないか」という声もあがってきていたので、誰か呼ばないといけないかなと思っていました。

 

そんなとき、徳島で田中雅織先生の飼い主向けセミナーがあると知りました。僕は元々ドギステを観ていたので、田中先生の話を聞いてみたいと思いました。そしてセミナーに参加し、わんぱーくでの研修をお願いしました。


今回研修をやってみて良かったなと思うのは、私自身、犬を飼っている一個人としても、聞きたい話が聞けたことです。またひとりのボランティアとしても、共感するところが多いお話でしたのですごく良かったなと思います。運営側の立場としては、専門家の方に、当シェルターを外部から客観的に見ていただけたので、ありがたかったです。

研修後、どの犬に何か具体的なトレーニングができたかというと、そこまではいっていないんですけど、みんなの意識が少しずつ変わってきていると感じています。

これまでは、シェルターでなにか問題があったときは「役員さん、なんとかしてください」と、役員が問題解決係でした。でもシェルターのことはボランティアの人たちでも解決できないと、会が回っていきません。

ですが研修後、「問題をどう共有できるだろうか」とか「自分たちでも考えてみよう」とか、少しずつ行動を起こす兆しが出てきたので、そこがとても良かったと思います。


研修で、田中先生が教えてくださったトレーニングがありますが、改めてわかったことがあります。それは犬たちの状態はもちろん、ボランティアさんたちが全員まだ意識的に動けないので、まだそれをできる状態ではないということ。

「ここからどうしたらいいのか」「何をしたらいいのか」というのが分からない、という状態ですので、今度フォローに来てくださるドッグトレーナーの元田さんには、一緒に考えていってくださったらと思っています。
 

これからも田中先生といった専門家の方に来ていただいて、専門的なお話を聞いて、会全体の意識を高めていくことができればと思います。

田中雅織先生の研修の様子

ボランティア活動の喜び

譲渡されていった犬たちの変化を見るときです。

怖がりでずっと背中を丸めて小さくなっていた犬が譲渡されていって、先日散歩で会ったら、シェルターにいたときと全然違う、堂々とした犬になっていました。顔つきや表情が見違えるようになって、立ち振る舞いが違って、自信に満ち溢れていて、譲渡されていった犬ってそういったことが多いんです。

シェルターでは人が入れ代わり立ち代わりなので、自分の居場所がなかなか定まらないというか、人間を含めた、群れがなかなか定らないからなのかなと思うのですが、家庭に入ると、自分の居場所が定まって落ち着くのかなと。

そういったこともあって、一日も早くいいご縁を見つけ、譲渡することが、一番やらないといけないことだろうと思っています。そのためにも、シェルターにいる犬たちにどういったことをしていけばいいか、を知っていかないといけないと思います。

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譲渡可能と判断する指針

リードをつないで、散歩に行ける状態であることが、最低限必要です。散歩は、運動、排泄でもありますが、コミュニケーションの時間でもあり、犬と人が暮らす上で一番必要なことだと思いますので。

あとは、怖がりの犬を譲渡する場合は、譲渡までに犬と人が少しずつ慣れていくことが大事です。トライアルをする前には、事前にシェルターに通ってもらって、犬と一緒に散歩に行ってもらったり、コミュニケーションを取ってもらったりします。そして、その人の家で半日くらい過ごしてみて、状態を見ます。トライアルの、トライアル、という感じですね。

バモスもシェルターにいた頃は、人には慣れてはいたので逃げ回るといったことはありませんでしたが、神経質で怖がりなので、散歩中に途中で歩かなくなることがよくありました。バモスを迎えたのは、私が一年ぐらいシェルターにボランティアとして通った後でした。迎えた後、バモスはすぐ家に慣れてくれたので、トライアルに入る前に、その人にある程度慣れておくことが大事だと思っています。
 

犬にとって厳しくなる日本の社会

いまはSNSで発信したり、譲渡会をおこなったりして、譲渡の機会を作っています。でもせっかく譲渡会に来てくださっても、譲渡条件に満たなくて譲渡できない場合も多いです。

いま日本の社会が難しいと思うのは、共働きで、日中は家をあけているという家庭が多いということ。犬は一匹で生きていく動物ではないので、ずっと一匹で留守番しないといけないという家庭は難しいです。子犬ならなおさらです。

あと、譲渡会に来られる半数は高齢のご夫婦です。二人暮らしで、子供は独立していて、散歩は60代70代のご夫婦が行くことになると、譲渡はちょっと難しいとなることが多いです。これからもっと高齢化社会になって、そういった方々が増えていくと思うので、保護犬たちにとって、日本の社会は厳しくなるんじゃないかと思ったりします。

 


最近、岡山県の獣医師会が高齢者に対して、獣医師会の推薦で、シニア犬や繁殖犬を譲渡するということを始めたりしています。

うちの団体は「救われた命を終生飼養、これから10年15年、最後まで幸せに大切に育ててくれる人に譲渡します」という理念で活動しているので、なかなか高齢者を譲渡対象にできない。最近の高齢者の方はお元気な方も多いですが、いまは元気に散歩に行けても、3年後5年後も行けるかどうか、というところを考えると、簡単に譲渡できないという状況です。
 

理想のシェルター、これからのシェルターの在り方

犬たちの収容施設ではなくて、次のステップの、新しい飼い主のところに行くための準備期間となるような施設、そんな場所になることが一番。犬が新しいお家に行けるようにしていける施設であったり、その犬のためのお家を見つけられる活動、団体になっていかないといけないと思います。

いま、うちのシェルターにも、開設の頃からいる犬がいます。10年くらいいるその犬は、当初リードをつなぐことができないような犬でした。でもいまは落ち着いていて、新しくボランティアの方が来た時には、最初に一緒に散歩に行くのがその犬だったりします。全然問題がない犬なんですけど、なかなか機会がなくて、譲渡されていない状況です。

そういう機会を積極的に作っていかないといけないと思っています。待っているだけではそういう機会は作れないので。

収容されている犬たち

これから目指すこと

岡山県の愛護センターに収容された犬猫の7割が、ボランティア譲渡されている状況です。かといって、その7割のすべてに、新しい家が決まっているわけではありません。うちもそうですし、他の団体でもたくさんの頭数を抱えているという状況。

いまは次のステージに進む時期なんだと思います。

10年前は「殺さない殺されないこと」、殺処分ゼロが一番の目的でした。うちの団体もそれで発足しました。でも、もうその段階は終わっていて、「殺されなかった犬たちがどう幸せになっていくか」を考えていかないといけない。そういう世の中になっているんだと思います。

岡山でも企業がらみで取り組んでくれる会社もありますし、色んな人が注目はしてくれているので、少しずつ変わっていくんだろうなと思います。

もうボランティアだけではやっていけないなと思っているので、多方面を巻き込みながらやっていけるようにネットワークを作って、頑張っていきたいと思います。
 

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